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悲愴/チャイコフスキー

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ワレリー・ゲルギエフ指揮、ウィーンフィルハーモニー管弦楽団

『悲愴』という曲名ではあるけれど悲しみだけを描いてるというものではないんですね。壮大、雄大な部分もあって悲しみ一辺倒ではない。その悲しみを感じさせる部分もあくまで『悲愴』であって『悲惨』ではない。悲しいけれど美しく優雅。

悲しみを壮麗かつ優雅に描き上げた曲だと思います。悲しさを美しく描き上げたもの。
悲しみって明るい感情ではないんですよね。基本的に味わいたくない感情のはずだから。でもそれを疑似的に体験したいという欲望はある。恐怖でさえホラー映画や遊園地の絶叫マシーンなどで体験したいという気持ちがある。
そしてその疑似体験は、安全な場所からの体験でないといけない。だから芸術や芸能にそのような表現があると思う。
演歌などで描かれる悲しみは男女の別れなどが主題のものが多いけれど、美しさとはちょっと違うかな。こんなに悲しいんですよ、って見せつけるような感じ。お涙頂戴と言ってもいいかもしれない。それが気分的にはまる時もあるので否定するつもりはないけれど、濡れた感情をそのまま提示するような感じかな。
クラシック音楽の目標、というか命題が音楽による美しさの表現にあると思うので、この曲も美しい。悲しみには濡れた情感がつきものだけれど、純化して乾いていてそれゆえに清廉で高潔な曲だと思えます。

第二楽章を聴くと「あ、ワルツだ」と思ったのですが、3拍子ではないような。ライナーを読むと5拍子だそうです。5拍子はワルツって言わないのだろうか。3拍子だけがワルツ?

今回聴いたのは
■ペーター・チャイコフスキー
交響曲 第六番 ロ長調 op.74 『悲愴』